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にちにち通信No.12 楽器・芸能に使われる木材

にちにち通信No.6日本古来の木材使われ方より、今回は楽器・芸能に使われる木材

について深掘ります。

日本では木は単なる「材料」ではなく、音を宿し、神を招き、人と人を結ぶ媒介として使われてきました。

楽器や芸能に使われる木を深堀すると、日本人が木をどのような存在として見てきたかが見えてきます。

①    なぜ木が楽器に使われるのか

木は伐採されても完全に死んでしまうことはなく、呼吸をするように湿気を吸ったり吐いたりします。そのため昔の人は「木に魂が残る」と考えました。

音とは空気の振動ですが、木はその振動を柔らかく受け止め、人の耳に心地よく伝えます。金属や石では出せない温かさ・深み・揺らぎを生み出します。

日本の芸能はその「揺らぎ」を大切にしてきました。

➁ 神楽と木

神楽は神様を迎える神事芸能です。神楽で使われる代表的な木製楽器は太鼓・笛・拍子木などがあります。

太鼓…和太鼓は胴にケヤキ・クス・ヒノキなどが使われます。特にケヤキは強く、響きがよく、神社建築にも使われるため、神事との結びつきが深い木です。太鼓の音は「神を呼ぶ音」とも考えられてきました。

神楽笛…主に竹で作られています。竹も木と同じく神聖視され、神様が降りる依り代とされてきました。笛の音は風の音、神の声とも言われています。

③ 能楽と木

日本芸能の最高峰の一つに能楽があります。能舞台には必ずヒノキが使われます。

軽くて強い、香りも良く音が響くからです。役者が足を踏むたびに独特の音が出ます。

これは舞台自体が楽器だからです。つまり能舞台は巨大なヒノキ製の共鳴箱なのです。

④   琴と木

琴は主にキリが使われます。キリは軽く、狂いが少なく音の伝達が優秀という特徴があります。琴の内側は空洞で木全体が響きます。

⑤ 三味線と木

三味線の棹には紫檀・黒檀・紅木などが使われます。特に紅木は非常に硬く、音の立ち上がりが鋭いため歌舞伎や民謡で重宝されました。

⑥ 歌舞伎と木

歌舞伎には拍子木があります。舞台の始まりを知らせる音で、カシやコクタンなど

を使用します。硬い木ほど鋭く響きます。相撲も同じく拍子木を使います。

歌舞伎も相撲も単なる合図としてではなく、「場を切り替える音」として使用されています。

このように木と芸能の共通点は「木が空間を整える」という考え方です。昔の日本人は木からでる音を音楽ではな   く「気配」と感じていました。それゆえ芸能は技術を見せるためだけでなく、場を清め、人の心を整え、神と人をつ なぐためにありました。 木が持つ見えない響きをそれぞれの役割で現代に繋いできました。私達も次の世代へ当時の心の在り方までも伝えられたらと思います。