にちにち通信No.6 日本古来の木材の使われ方
日本古来における木材の使われ方は単なる「素材利用」を超え、
信仰・暮らし・技・思想と深く結びついてきました。
①信仰・神事における木材
日本では木そのものに神が宿ると考えられていました。
山・森・巨木は信仰の対象であり、「伐る(きる)」ことは
祈りを伴う行為でした。
神社建築:ほとんどヒノキ中心の木造
御神木:伐らずに祀る
伊勢神宮の式年遷宮:20年ごとに新しい木で社を建て替える
→木を使いきり、次へ命をつないでいくという思想があります。
➁建築・住まいとしての木材
分解・再生できる建築文化で、釘を極力使用しない木組みや
地震が多い環境のため、木のしなり・戻る特性を活用している。
ヒノキ:寺社・重要建築
スギ・マツ:柱・梁・板材
クリ:土台(耐水性が高いため)
木は手入れしながらともに暮らす存在でした。
③道具・生活用品としての木材
木は食・農・仕事の道具はほぼ木製で日常に溶け込んでいました。
曲げわっぱ(お弁当箱)
木桶・木樽(味噌・醤油・酒)
箸・まな板・椀
杵・臼
木は軽く、直しやすく、土に還る素材でした。
④楽器・芸能に使われる木材
音に木の命を宿す
音色は木の年輪・乾燥・産地で変わる
琴:桐
三味線:紅木・花梨
能管・笛:竹+木
太鼓:ケヤキ・サクラ
「鳴らす」のではなく、「木が語るのを聴く」
これが日本の楽器文化の真髄です。
⑤木を使い切る思想
建材→家具→道具→薪→炭→灰(肥料)
余りは出さず、最後まで使うのが礼
このように日本古来の木材の使われ方を振り返ってみると、
そこには「どう使うか」以上にどう向き合ってきたかが表れているように感じます。
昔の人にとって木は単なる資材ではなく、山や森から一時的にお借りする命のような
存在でした。だから伐る前には祈りがあり、使うときには慎みがありました。
神社や住まいが木で造られてきたのも、木の温かさ・しなやかさが人の暮らしや自然の
リズムと無理なく重なっていたからかもしれません。
壊れたら直し、手を入れながら使い続ける。。。
そこには「完成」よりも「付き合い続ける」感覚がありました。
日々の道具や器、楽器に至るまで木が選ばれてきたのは
軽さや扱いやすさだけでなく、使う人の手や時間を受け止めてくれる素材だったからだと
気づかされます。木は使われるほどに表情を変え、暮らしの一部になっていきます。
そして注目すべきは端材や古材、燃料にいたるまで「もう役目がない」とされるものがほどんどなかったことです。
最後は灰となり、土へ還り、また次の命を支える。木は最初から最後まで循環の中に置かれていました。
こうして見ていくと、日本古来の木材利用は自然を支配する知恵ではなく、自然と折り合いをつけながら
生きる姿勢だったように思えます。
木を大切に使うことは資源を守るためだけでなく、
自分たちの暮らしのあり方を整えることでもあった。。。
そんな静かな気づきを与えてくれるひとときとなりました。